愛してる→コロコロリー エンマコオロギ
【コオロギの音色】
9月に入ってもまだまだ残暑の厳しいところが多いが、夜には虫の鳴く声が聞こえ、秋の気配を感じるようになった。その秋の虫たちは、鳴く時にどうやって音を出しているのだろう。

秋の虫の代表格であるコオロギの場合、左右の前ばねをすりあわせて音を出す。この音で仲間と様々なコミュニケーションをとっているのだ。

また、自ら出す音で仲間とコミュニケーションをとるということは、その音を聞くことができる耳を持っているということになる。コオロギの耳は意外な所にあり、前足の関節の近くについていて、コオロギが出す高い周波数の音を聞きとることができる。

私たちに秋の訪れを感じさせる虫の声は、虫たちにとって仲間との大事な交信手段なのだ。

【鳴き声の種類】
虫の声を聞くと、秋がやって来たことを実感する。虫の鳴き声は種類によって異なるが、同一の虫の場合でもよく聞いてみると実はいくつかのパターンがある。エンマコオロギの場合、状況に応じて3つの鳴き声を使い分ける。

夕方から夜にかけて、「コロコロコロ」とよく通る美しい声で鳴くのは「ひとり鳴き」と呼ばれるもので、オスがなわばりを主張する鳴き方だ。

また、明け方や夕方に「コロコロリー」と低く弱い声で鳴くのは「誘い鳴き」と呼ばれる鳴き方である。これはメスが近づいた時の鳴き声で、メスに求愛をしているのだ。

そして、「キリキリキリ」と短く強く鳴くのは「争い鳴き」と呼ばれる。他のオスが近づいてけんかをしている時の鳴き声だ。

このように、エンマコオロギは様々な鳴き声で他のコオロギとコミュニケーションをとっている。虫の声が聞こえたら、虫たちがどんなコミュニケーションをとっているのか想像してみるのもおもしろいかもしれない。

                             【株式会社ウェザーニューズ】