動けない植物の知恵に迫る

これからする話は小難しい話をなるべくわかりやすく,簡単にまとめたものです。今回は僕らの身近にある植物(樹木)をターゲットとした話です。みなさんには植物になったつもりで読んでいただければ幸いです。  

さて,植物は我々の身近に常に存在しており,素晴らしい恵みをもたらしてくれます。それは,美しい自然の風景であったり,おいしい野菜であったり,心落ち着く木漏れ日であったり,様々です。そして植物がいなければ人間を含むすべての動物は生きていくことはできません。

この植物(樹木)が生きてゆくためには何が必要なのでしょうか?中学生くらいの理科の授業で習ったと思いますが,日光,水,二酸化炭素が必要となります。植物はそれらの材料を使って光合成を行い,最終的に炭水化物を作ります。その際に二酸化炭素を吸収して酸素を放出することは,地球の温暖化問題が世間で騒がれるようになったためかなり知られるようになってきました。

※ 地球温暖化 地球規模で平均気温が上昇する現象のことをいいます。約0.6℃ずつ地球の年平均気温は上昇しており,生物の生理活動や行動の変化,極氷の融解などによる海水面の上昇などが生じ生態系に計り知れない変動を与えます。北海道のある河川では河川水温の上昇などによって魚類層が変わったりもしているみたいです(今度紹介しますね)。

さて植物を人に重ねてみると,美味いご飯を食べてビールを飲むと腹に肉がついて樽のようになる,と考えていただければよろしいでしょうか?もちろん,人間は外から得た栄養分(有機物)を消化することによって使えるエネルギーにしますが,植物はそれを自分自身ですべてやってしまいます(無機物を自分の体に取り込む)。しかし、野生の植物は屋外に生育しているわけですから,光,水,酸素を常に獲得できる状況にあります。ここで問題となってくるのは腹一杯になるのか?ということです。光のよく当たる場所に芽生え,雨なども適度に降る環境に生育できる個体はかなり運がいいといえます。他の背の高い樹木の下の暗い環境で生育する羽目になってしまった個体はどうするのでしょうか?【志水謙祐・嶋田泰也】